田中美登里のラジオ番組に出演した回の再録。巻末には各回の解説的な長めのあとがきのようなテキストも収録されている。
横浜をめぐるフィールド録音の第一章からして興味深い。この本を片手に横浜に行きたくなる。
ジャズや演歌のほか。新内、浪曲などの語り芸についての話題も多い。ソ連崩壊のタイミングでロシアについて語る回というのもある。ロシアンジャズをかけつつ、「ロシアの魂」を信じていると語っているのだが、いまのロシアを見たらどう思うのかなという気もする。
マル・ウォルドロンと絡めて強烈に寺山修司をディスってる箇所があって笑った。「安全前衛」とのこと。わからんでもないね。
ぼくは平岡というとその文体によってグイグイと読まされてしまって、結局どんな内容だったか全然覚えてないということが多い。本書でもこんな名調子が随所で炸裂している。
「形式やテクニックも大事だけど、やはりジャズってのは根性だ。演奏そのものの中に革命を内包していなければジャズはジャズじゃないんだ」
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