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思いのほか深い世界―『美術手帖 2025年1月号』【80冊目】

先日、箱根のポーラ美術館に行った際に、古新聞・古雑誌を模した陶芸の作品があった。新聞の紙面やマンガ雑誌の表紙などが表面に描かれ、紐で結ばれて資源ごみに出されようとしているもののようになっているというものである。前にも別な美術館で観た記憶のあ...
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作品以外の部分が邪魔をして楽しめなかった―『サンドマン5 あなたのゲーム』【79冊目】

ケンと離婚してから夢を見ることがなくなったバービー。親友のトランス女性ワンダと外出すると、巨大な犬が駆け寄ってくる。銃撃されて息を引き取る犬から、バービーは宝石を渡される。その犬は、かつて夢の中にいた家臣の一人だった。その晩、カッコーの使い...
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数年後に読むことの良さ―『現代思想 2021年5月号 特集=「陰謀論」の時代』【77冊目】

議事堂襲撃事件から企画された特集なのだと思うが、今後「第二、第三のトランプ」が現れるかもしれないと語られており、さすがに本人があんなふうにより強力にカムバックするとは思わなかっただろう。 まず特集巻頭の対談で当時の見取り図がよく整理されてい...
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ウィリアム・S・バロウズ『クィア』【76冊目】

まだバロウズがバロウズになる以前の作品だったのかもしれない。 映画をきっかけに復刊されたバロウズの第二長編。自身のメキシコ逃避行時代の経験を小説にしたものである。そのあたち、前作『ジャンキー』と次作『麻薬書簡』との関連も含めて柳下毅一郎さん...
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いまひとつ食い足りない―松岡正剛『編集宣言 エディトリアル・マニフェスト』(工作舎)【75冊目】

『ユリイカ』の追悼特集を読んでいて、やはり『遊』をどのように作っていたかという話が面白いなと思っていたので手に取ったのがこちらである。 『遊』時代に綴った「編集エッセイ」を緊急追悼出版したものだという。 「編集エッセイ」というくらいで、目次...
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パンクについて引き続き考える―『All The Young Punks vol.3』【74冊目】

基本コンセプトは既刊と同様、各国のいろんな世代のパンクスにパンクについてのアンケートをとったもの。パンク原体験、思い出のライブ等々。 前作よりもアジアなど非英語圏からの参加が多く、日本人も3~4人いる。ていうかイライザ・ロイヤル女王様やLi...
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尖る/尖らない―「現代詩手帖 2023年5月号」【73冊目】

新人・新鋭特集ということで、巻頭に新鋭の作品がたくさん載っている。 当たり前だけど新鋭といっても尖ったものばかりではなく、ぼくのあまり得意でない「日常を切り取る」系みたいな人も結構いるのだな。個人的によかったのは・小川芙由「エニィ・エニィ」...
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けっきょく最後まで滑っていた―『やぎ少年ジャイルズⅡ』【72冊目】

上巻を読み終えた時点で「このあと面白くなるのかな……?」と思ったのだが、残念ながら予想通り最後まで面白くならなかった。 自分がやぎだと思って育てられた少年が実は人間だと気づき、さらには「大いなる教え親」という一種の救世主であるとの自覚をもっ...
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魔術的スチームパンク―『精霊を統べる者』

『SFが読みたい!』の海外部門1位。 20世紀初頭のエジプト。偉大な魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)を解き放ち、人々はジンと共生するように。エジプトは魔術の力で国力を強めていたが、魔術師自身は姿を消してしまっていた。そこから数十年後、イ...
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40代の鮎川誠―『KEEP ON ROLLING Makoto Ayukawa Photo Live 1993-1999』【70冊目】

90年代の鮎川誠をとらえた写真集。ぼくが初めてシナロケを観た頃だ。 ライブ写真を中心に、楽屋やオフショットなども収録。まあそりゃかっこいいわね。真ん中あたりにロングインタビューも掲載されており、これもいつもの鮎川節ではあるのだが、ちょうどコ...