変われること―『ビースティー・ボーイズ・ストーリー』

05 Movie

スライドショーを流しながらマイクDとアドロックの二人がバンドヒストリーを語るイベントの様子を収録したという変わった形式のドキュメンタリー。

監督はビースティーズのMVでも知られるスパイク・ジョーンズで、当日の会場での映像出しもやっていたらしい。ところどころサンプラーで効果音を出すようなノリで映像を挟む部分もあったりして、こういうところもヒップホップぽいなと思ったりした。

ニューヨークでつるんでいたクラスの変わり者たちがパンクと出会ってバンドを結成。なんどかライヴをやっていくが、ヒップホップと出会ったことでラッパーに転向。若くしてというか幼くして大成功を収めるが、こういうのにありがちな成功によるさまざまなあれこれを経て表現者として成熟していくみたいな流れである。

まず初期におけるケイト(のちのルシャス・ジャクソン)の存在が思った以上に大きかった。それとラップに転向するにあたって思った以上にリック・ルービンの功績が大きかったこともわかった。つかデフジャムの初期ってあんなにリック・ルービン自身がフィーチャーされてたんだな。
なによりクリエイティヴ面でのアダムの役割が大きかったことがよくわかった。そりゃあ彼が死んだら解散もするわな。

「Fight for Your Right」はもともとパーティ野郎をからかう曲だったというのも驚いた。やがて自分自身がパーティ野郎になっていってしまったというのだが、完全にビースティーズ=パーティ野郎なんだと思ってたよ!
そして初期の自分たちのミソジニックなノリを反省してフェミニズム的な歌詞を書いたときにインタヴューで偽善者と呼ばれ、アダム「ずっと同じ人間でいるくらいなら偽善者のほうがマシだ」と答えたというエピソードにもぐっと来るものがあった。

自分の場合は世代的に「Fight for Your Right」よりも「Sabotage」の印象が強く、90年代のカルチャーリーダーみたいなイメージを持ってるんだけど、あの感じはいま全然若い世代には伝わってない気がする。

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