良くも悪くも若い―『ドアをノックするのは誰?』

05 Movie

マーティン・スコセッシのデビュー長編。なのだが。

ハーヴェイ・カイテル演じる映画オタクの不良が女の子と出会い、ジョン・ウェインの話を熱弁。つきあい始めるがやがて彼女から秘密を打ち明けられる。一度は拒絶したものの……。

街のチンピラの喧嘩から始まり、まずは「お、ヌンチャク使ってる」とびっくりした。ブルース・リー以前からアメリカの不良はヌンチャクで喧嘩してたのか。

ドアーズの「ジ・エンド」をBGMにしたセックスシーンがあるのだが、あれは妄想シーンなのかな。そこ以外も音楽の使い方は実にかっこよくて流石である。

彼女の秘密というのは要するにデートレイプの被害にあったということなのだけど、それに対する主人公の反応がひどい。
最初にアバズレ呼ばわりし、その後あらためて「許すから結婚しよう」とか言う。「許す」という言葉を聞き逃さなかった彼女は拒絶するのだが、そこに更にキレる始末。
50年代の映画とかならまだしも1967年でその倫理観っていうのはちょっと信じられないなと思う。しかも後に『タクシー・ドライバー』とか撮るような人が。
あその後は主人公は教会に行って懺悔するんだけど、そこで最後に神にすがるっていうのも気に食わないというか、いい気なもんだとしか思えない。スコセッシ自身のカトリック信仰というのはその後も折に触れて作品のモチーフになっていくのだが。

一方で映像は構図や編集に凝りまくったスタイリッシュなもので、おそらく同時代のヌーヴェルヴァーグなんかに相当影響を受けたというかカブれたんだなとうかがえて微笑ましい。

とにかくいろんな意味で「若気」という言葉が当てはまる作品だなと思った。

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