こんな話になるとは思いもよらなかった。
というような小説はよくあるっちゃあるんだけど、これはなかなかである。

主人公は売れない女優・佐枝子。仕事にあぶれて困っているところ、怪異の起きている団地に潜入してのドキュメンタリー映画のレポーター役というオファーをもらい、問題の団地で暮らし始める。すぐに様々な怪異が彼女を襲い始め……
という感じで、フェイクドキュメンタリー映画などの影響を感じさせる団地ホラー的に始まるのだが、そこからエラリー・クイーンと小泉八雲への言及を絡めつつ、ギリシャ神話の世界へ、そして最後には壮大なSFになっていく。
前半はホラーとしてじっくり怖さを盛り上げていくのだが、後半はかなりの急展開で正直詰め込みすぎなんじゃないかなというところはある。台詞でどんどん説明してっちゃうところも気になった。
とはいえ、本作はハヤカワSFコンテストの優勝賞受賞作という新人の一作目。そもそもこのときは最終選考に残ったうち純然たるアマチュアだったのはこの作者だけだったそうで、それはそれでどうなんだろうというようなことは選評で書かれているのだが、ともあれこの情報量と筆力は新人としては大したものだ。何度も言ってますが、ほんとにいまの日本SFの新人は質が高い。
ヴィジュアル的なイメージが強烈な作品なので、映像化してもいい感じになるのではないかなと思った。

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