オースターってこんなに面白かったっけ!
というくらいに最近ハマっていたのが昨年秋に刊行されたポール・オースターの『4321』である。信頼の柴田元幸訳。

何を言ってもネタバレになるタイプの小説なのでどう説明したらいいんだろうか……。
ニュージャージーに生まれたユダヤ人アーチー・ファーガソンの少年時代~青年時代を描いたA5判800ページの大著である。
基本的にはアメリカの60年代を描いた小説で、ケネディ暗殺や公民権運動と人種間の対立、ベトナム戦争と反戦運動などが描かれる。これらを様々な角度から描くための工夫として採られたのがこの本の仕掛けなんだと思う。シンプルなんだけど、こんな方法があったのかと目からウロコだった。
とにかくアーチーがめちゃくちゃ本を読むし映画を観るのも特徴。アメリカの大学生ってとにかく本を読まされるとは聞いているが、アーチーも物心ついたときから古典を読みまくる。出てくる本をリストにして自分も読みたいなと思った。
一応ネタバレを避けようと思うのであんまり書けることがないのだが、とにかくものすごく面白かった。オースターは全部読んだわけではないんだけど、これまで読んだ中では間違いなくベストだし、去年のうちに読んでたら年間ベストに入れたのは間違いない。ていうか、ここ最近それなりに楽しく読んでいた新刊小説がことごとく色褪せて見えてくるくらいの傑作。
文章も深みとユーモアを称えた滋味あふれるもので、翻訳の名調子もあってすごく読みやすい。むしろ永遠に読み続けてこの世界に浸っていたいと思わされるくらいなので、厚さにたじろがずに是非トライしてほしい。

『4 3 2 1』 ポール・オースター、柴田元幸/訳 | 新潮社
1947年、ユダヤ系の家庭に生まれたアーチボルド・ファーガソンの、驚くべき仕掛けに満ちた成長物語。ドジャースLA移転、ケネディ暗殺、ベトナム反戦運動。50~70年代のアメリカを生きる若者の姿を、緻密で独創的な四重奏で描く
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