苦手なミュージシャンを著書を通じて克服する試み―デヴィッド・バーン『音楽のはたらき』【165冊目】

03 Books

デヴィッド・バーンとトーキング・ヘッズがむかしから苦手なのである。なんかあの独特の発声がダメなのだ。あとそもそもニューウェーブ系ファンクもあんまり得意ではない。『ストップ・メイキング・センス』なんかを観ても、苦手さがつのるばかり。
だったのだが、『アメリカン・ユートピア』があまりに素晴らしかったので見直しを行ったほうがいいのかなと思っている今日このごろなのだった。

こういうときは活字から入るのがよかろうということで読んだのが本書、デヴィッド・バーン『音楽のはたらき』である。信頼の野中モモ訳。

本書で書かれているのは「音楽はどのようにして生まれるのか、そして音楽を取り巻く状況について、その変遷と現状」である。

空間(ライブ会場とか)と音楽の関係、録音技術と録音メディアの発展といった歴史学者的な文章もあり、に自身のライブパフォーマンスの変遷やスタジオでの作業の変化、これまでの様々なコラボレーション経験などを綴った自伝的な文章あり、レコード会社との契約形態のあれこれやアマチュア文化が生む文化的な豊穣さといった現代社会についてのジャーナリスティックな文章ありとはばひろい。
写真も満載で楽しいし、Spotifyへの苦言なんかも含めて随所で語られる主張にも頷かされるところが多い。まあリベラルなインテリなんだなって感じ。
特に作曲とレコーディング技術の密接な関係が興味深い。そうやって作るんだー、みたいな感じで素朴に感心した。
こういうのを知った上で改めて聴くと、また違った発見があったりするかと思うので、いろいろ聴いてみよう。

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