

昨年末に急逝した永田希さんの遺作となってしまった一冊で、デビュー作『積読こそが完全な読書術である』の続編的な本である。
めちゃめちゃシンプルに言うと、「本は何度も読んだほうがいい」ということを言っている。前作でも言っていた「本を読むことの不可能生」がそもそもベースにある。本を読むのは大変なので、途中で辞めてもいい。ふさわしい時が来たらまた読めばいい。そして再度本を開いたときには新たな発見がある。「初体験」はたしかに経験としては強いんだけど。それだけが読書ではない。「初体験」の強さと距離を置くことは「情報の濁流」から自身の身を護ることにもなる。
前作では積読本を整理していくことを「ビオトープ」と呼んでいたことも話題になったのだが、本作では再読することで本に書かれている内容が自分の中で新しく位置づけられていくことを「テラフォーミング」(=ネットワーク/環境の最構築)と呼んでいる。
再読=ネットワークの再構築というのは、何度も読めば新たな発見があるということでもあるし、前回読んだ時以降に読んだ他の本との関係性で位置づけが変わってくるということでもある。
もうちょっと具体的な「再読」のためのアドバイスというのも書かれていて、特になるほどなと思ったのは、新しいジャンルに手を出そうと思ったらまずは読んだことのある本の中でその分野と関連しそうなものを読み直せというもの。たとえば中国史を学ぼうと思った際に横山光輝の『三国志』を読み直す、みたいな例が挙げられている。これは新しいジャンルに手を出す際の下準備にもなるし、自分の知識の棚卸しにもなる。
古典やベストセラーを読もうという話もあって、古典とベストセラーというと対極に思えるかもしれないが、くさんの人に読まれている。それもまた読まれる本の側からすれば「再読」されているといえる。
ただでさえ積読の多い我が家ではあるが、再読も積極的にしていきたい。まずは『積読こそが完全な読書術である』を読み直そう。

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