【51冊目】積読と再読――永田希『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス)

03 Books

先日「再読する」と言ったので再読した。

2020年刊。読書論、いや「積読論」にパラダイムシフトを起こした名著である。
ビオトープという生物学の概念を読書に導入。つまり自分のテーマや関心に従って書棚を作り直し続けることが薦められている。
そうしている棚を作っていくうちに本と本の関係、その本の位置付けというのがわかってくる。その中で読むべき本がわかってきたら読めばいいし、読まなくてもいい。
ここには本は一冊では完結しないという考えが根底にある。こういうの昔はインターテクスチュアリティとか言ったもんだが、最近はあんまり聞かないね。

つまるところ本書で言う積読というのは耐えざるネットワークの再構築であって、決して自堕落に本を溜め込むことを称揚しているわけではない。
なんなら実際に積む必要すらなくて、読みたい本のリストだけでも良い。というかまずはリストを作るといいとされている。

本書と『再読だけが創造的な読書術である』に一貫しているのは、「情報の濁流」にさらされている現代の状況から身を守ることだ。
実のところ本書の言うことに(というか本書で紹介されている『読んでいない本について堂々と語る方法』のバイヤールの言うことに)従うならば、本を「完全に読む」ことは不可能なので、「一回読んだ本」とかも未読本のうちなのである。
こうなるともはや積読も再読も変わらないというか、二冊の本で言われていることはほとんど同じだったんだな。
こういうことがわかるから再読はしたほうがいいのである。

書籍詳細 - 積読こそが完全な読書術である|イースト・プレス
千葉雅也氏推薦 「読まずに積んでよい。むしろそれこそが読書だ。 人生観を逆転させる究極の読書術!」 読めないことにうしろめたさを覚える必要などない。 まずはこの本を読んで、堂々と本を積もう。 気鋭の書評家が放つ、逆説的読書論! 情報が濁流の...

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