リメイクに現れる作家性―『ノスフェラトゥ』

05 Movie

変なところに作家性が出るのがリメイクというものの見どころなのかもしれない。

ロバート・エガース版に備えてヘルツォークによるリメイク版『ノスフェラトゥ』をU-NEXTで鑑賞。いやあ変な映画だった。

まず冒頭、イザベル・アジャーニの表現主義風メイクが目を惹く。全体的には70年代らしい画質の中で白塗りに黒いアイラインで現実離れした雰囲気を放っている。
映画自体は基本的にはオリジナルのムルナウ版『吸血鬼ノスフェラトゥ』に忠実にストーリーをなぞっていくのだが、変なところでヘルツォークの作家性が顔を出してくるところが面白い。
トランシルヴァニアを訪れるハーカーを迎える現地人が東欧なのにインディオみたいな顔立ちの人々だったり、さらに馬車をつかまえられなかったハーカーがドラキュラ城を徒歩で目指していくところでは崖やら岩山やら過酷な道なき道を行くことになる。
後半でドラキュラが引っ越すときにはなぜか棺をイカダに積んで川下りするなんて場面も。

終盤でドラキュラがペストをもたらすあたりでは大量のネズミが投入されており、死に絶えた街で生き残った人々が「最後の晩餐」に興じる場面も不思議な雰囲気がある。

クラウス・キンスキーが演じるドラキュラはなぜかおどおどした態度でどこか哀愁を漂わせており、オリジナル版の異形の怪物とはまた違った魅力があるんだが、このへんデフォーだとどうなるか楽しみだ。

とか思ってたらオリジナルにはない場面の付け加えられたエンディングにも驚く。なんだこりゃ。

ノスフェラトゥ(1978) : 作品情報・キャスト・あらすじ - 映画.com
ノスフェラトゥ(1978)の作品情報。上映スケジュール、キャスト、あらすじ、映画レビュー、予告動画。22年にムルナウが発表したブラム・ストーカー原作の小説の映画化のリメイクで、悪の象徴で災禍をもたらすドラキュラ伯爵...

コメント

タイトルとURLをコピーしました