もともと電子書籍で出ていたものの増補版。前半を今井昭彦、後半を山川健一が書き、最後に実際にAIを使って小説を書いた葦沢かもめによる10章が加えられたという形。

前半の今井パート。そもそも「ストーリーデザイナー」ってなんだよと胡散臭く思いながら読み始めたが、意外と面白い。
「問題を解決する/しない」「敵を倒す/倒さない」「目的を達成する/しない」というシンプルな物語原型みたいなものをもとに、それを一寸法師や桃太郎に当てはめながら、自分にとっての好き/嫌い、得意/不得意な型を見極め、それをもとにAIと対話しながらプロットを立てていくという方法を提示している。これは自分の読んだ本や映画とかに当てはめて考えてみるのも面白いかもしれないなと思った。
山川健一は、「◯◯というタイトルでプロットを考えて」とか言って作品を作っていくAIとの会話を再録。はヴァレリーの「ジェノバの夜」の話を出しながら「何が書きたいかが大事」「国語力が大事、本を読め」と。
最後の葦沢かもめは実際に自分の執筆した方法をもとに、まずはビジョン、そしてコンセプトを立て、そこから世界観やキャラクターを作っていくという過程をプロンプトのテンプレートなんかも示しつつ書いていくというもので、極めて実践的なもの。
2024年10月に出た本だが、すでにいまのAIと比べると隔世の感がある。AI技術の進歩の速さを実感できる一冊。
chatGPTとの会話を延々と再録して本になった時代の記録としての価値はあるかもしれない。

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