棚の中身の話が充実―平山亜佐子『あの人の調べ方ときどき書棚探訪』【178冊目】

03 Books

サブタイトルに「クリエイター20人に聞く情報収集・活用術」とあるように、様々な分野で活躍する方々に調べ物のやり方をご教示いただく(場合によっては本棚を見せていただく)という本である。もともと著者がシラスでやっている番組書籍したものだ。

著者自身も調べ物をベースにした著書の数々(主に歴史上あまり知られていないが面白い人生を送った女性の評伝)を書いてきた方なので、国会図書館や大宅文庫くらいは前提という感じで、より具体的なノウハウを聞いていく。基本的に「執筆」を前提とした調べ方の話なので、なんかこう、ビジネスで必要みたいな「調べ物」とはちょっと違うかもしれない。
基本的には著者の知り合いが多いのだと思うが、人文系、アダルトメディア研究家、映画評論家、特殊翻訳家、圏外編集者、古典アニメ研究科等々なかなか分野的にも幅広い人選になっており、ここに出てくる人を全員知っているという人はなかなかいないのでは。

とりあえずトップに登場する山本貴光さんの回で

平山 今回、山本さんをお呼びしますって言ったら編集者の友人が「知りたい論文が1本あったら全集を丸ごと買うとかそういう話が聞けるんですね」って言っていて(笑)

というのが出てくるのだが、この「編集者」はぼくですね(笑)

書棚探訪のパートについては、最近は本棚拝見的な本がよく出ているが、そういった本の多くが写真メインなのに対して、こちらは元が動画なせいか写真は小さいけれども、その代わり並んでいる本の話をけっこう細かく聞いている。この手の本で棚の中身をここまで突っ込んでいるというのはなかなかない気がする(中身の話ができる取材者がレアだということなのかもしれない)

ちなみに語ぶるい舎より刊行されている平山亜佐子・吉川浩満『部屋と自炊本と私』も同じシラス番組を活字化したもの。本書の吉川さんの回で行われている本の電子化の話をより深堀りしたものになっていますので、併せてどうぞ!

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