現代ジャズの地図―ネイト・チネン『変わりゆくものを奏でる―21世紀のジャズ』【138冊目】

03 Books

カマシ・ワシントンに始まり、メアリー・ハルヴォーソンに終わる現代ジャズのマッピングを行っている本。
トピックによる章立てで、必ずしも時系列というわけではない。

第一章「政権交代」ではウィントン・マルサリスとカマシ・ワシントンによる伝統の継承。
第二章「フロム・ディス・モーメント・オン」はブラッド・メルドーのキャリアとジャズのレパートリーの拡大。
第三章「アップタウン、ダウンタウン」はウィントン・マルサリスの指揮する「ジャズ・アット・リンカーン・センター」と、ジョン・ゾーンらを中心とした「ニッティング・ファクトリー」の歩み。
第四章「山を演奏する」はスティーヴ・コールマンとM-BASE。
第五章「新たな年長者たち」は」ウェイン・ショーターやキース・ジャレットといったベテラン勢の現在のシーンへの影響力。
といった感じで、章ごとに異なる切り口で語られてゆく。
特に「いまのジャズ」と言われてイメージされるのは第九章「変わってゆく同じもの」のディアンジェロ『Voodoo』のセッションからロイ・ハーグローヴ、ロバート・グラスパーとスナーキー・パピー、デヴィッド・ボウイ『ブラック・スター』参加メンバー、フライング・ロータスといったあたりだろうか。

各章ごとに章末に代表的なディスクが紹介されているうえに、巻末には「21世紀の(2024年の現時点までの)必聴アルバム選:154作」というのも載っている。この本があれば当分、聴くものには困らないなと思う。

変わりゆくものを奏でる──21世紀のジャズ | ele-king
変わりゆくものを奏でる──21世紀のジャズ

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