考えさせられはする――「現代思想 2022年6月号 特集=肉食主義を考える」【181冊目】

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肉食主義(カーニズム)というのは社会心理学者のメラニー・ジョイが提唱した概念で、要するに肉を食べない人たちを「菜食主義者」と言うのであれば、肉を食べる人たちは「肉食主義者」だろう、みたいなことのようだ。肉食というのは生物学的・栄養学的には必然性はなく、肉を食べたいという欲求は文化的・情緒的なものだという主張である。これをベースに、「肉食」というのをとらえなおしてみようというのが本特集だ。

論点としては倫理(アニマルライツ)、そして環境問題(畜産が環境に与える負荷)、肉食への代替(培養肉など)、さらには人間と動物との関係自体を問い直すような論考もある。

ヴィーガンへのアンチがよく「植物だって生きてるだろ」みたいなことを言うわけだが(まあ、揚げ足取りでしかないとは思うんだけど)、それに対して植物は痛みを感じないからOKという反論がある。これはわりと共有されている論だとは思うのだが、これについても、動物だって実際には人間と同じように苦痛を感じるかどうかはわからないという説もあるとのこと。苦痛を感じて可哀想、という考え自体が人間中心主義というか擬人化だということか。

で、培養肉とかだったらいいんじゃなかとぼくは思っていたのだが、それも動物から細胞を採取している時点で搾取だとか、そもそも肉みたいなものを食べたいっていう考え自体が肉食主義に毒されてるとか、その予算をヴィーガンへの啓蒙に使えみたいなことを巻頭の対談で言ってて、そこまでピューリタンじゃなくても……とは思った。
そういう意味では昆虫の扱いも特殊。そういえば材としてコウロギって話が一時期盛り上がってたというか燃え上がってたけど、あれはどうなったんだろうか。

ともかく、完全に「目覚めた」ヴィーガンの人にはなかなかわかってもらえないけれど、肉食というものから逃れるというのはけっこう困難なんだなということもわかる特集ではあった。たしかにある種の呪縛ではあるのかもしれない。

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