小説と詩の違いについていろんな人がいろんなことを言ってるなあという号。
というかとりあえず巻頭対談の二人(井戸川射子、マーサ・ナカムラ)をフィーチャーした号ということか。

昔は詩人としてデビューした人が小説家に移行するというパターンが多くて(金井美恵子とか)、詩は若いうちしか書けないみたいなことを言う人もいたものだが、最近は最果タヒとか向坂くじらとかもいるし、「二刀流」というのも増えているのかなと思っていたところではある。だからこそ、詩と小説はまったく別物、二刀流とか本質的には無理、みたいなこを言ってる論者が逆に新鮮に見えた。
第二特集の吉本隆明特集は毎年行われている横超忌という催し(シンポジウムみたいなのが開かれているということかな)を起点とした小特集。吉本の詩と思想の関係など興味深いテーマではあるが、ぼくはそもそも吉本隆明に詳しくないのであんまりそこには踏み込めないかな。現代詩文庫は持ってた気がするけど。
前号で現代詩手帖賞を受賞していた二人(芦川和樹、水城鉄茶)による「受賞第一作」が掲載されているが、やはりどちらも面白い。1年前の号だけど、その後活躍してるのだろうか。このあともバックナンバーを読み進む楽しみのひとつとしたい。
それも含めた「受賞第一作」特集というのもあって、読売文学賞(藤井貞和)、大岡信賞(野村喜和夫)、小熊秀雄賞(鎌田尚美)のそれぞれ受賞第一作が掲載されている。特に野村喜和夫「豚は渇きの9階で育っている」というのがすごかった。タイトルからしてヤバい。細かいことだが改行されている各行の行末に全部「、」が打たれてるのが独特のリズム感を作ってる気がする。
新人応募作品は選者が変わると掲載作品も変わるんだなあというのが興味深い。見てすぐわかる違いとしては文字組みに凝ったタイプの作品が明らかに減っている
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