1000冊紹介する

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その意気やよし―『ワタツミ vol.01』【124冊目】

昨年春の文学フリマで買った批評同人誌。ちょっとどういう経緯の人たちが作ったものだったのかは覚えてない(ほんの一年前なのに……)。 「総特集アメリカ」と、なかなか大きく出た。その意気やよし。まだバイデン政権だったころなんだな。目次は以下の通り...
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高田馬場から古代ギリシャへ―カリベユウキ『マイ・ゴーストリー・フレンド』【123冊目】

こんな話になるとは思いもよらなかった。というような小説はよくあるっちゃあるんだけど、これはなかなかである。 主人公は売れない女優・佐枝子。仕事にあぶれて困っているところ、怪異の起きている団地に潜入してのドキュメンタリー映画のレポーター役とい...
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偉業―村上巨樹『ミャンマーCDディスクガイド』【122冊目】

『刻まれた音楽とノイズ』に続き2024年に刊行されたのがこちら。大幅にボリュームが増えて152ページ!そして今回もオールカラー! そもそも前作では個々のアーティストや作品の紹介はなかったのだが、今回は著者がこれまでに入手したCDをすべてレビ...
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フィールドノート―村上巨樹『刻まれた音楽とノイズ ミャンマーのレコード事情』【121冊目】

ギターとドラムの二人編成でものすごく複雑な音楽を演奏するte_riというバンドがある。かつて彼らが2017年に『kasugai low gravity』というアルバムをリリースした際にオフィシャルインタビューを担当させてもらった。ちなみにい...
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同人誌の層が厚いジャンル―「Re-ClaM ex vol.5」【120冊目】

2023年刊行。たぶん刊行時の文学フリマで買ったんじゃなかったかな。 表紙画像は白地に赤だが、実物は茶色い紙に赤一色で印刷されているんでちょっと印象が違いますね。 古典ミステリ研究の同人誌「Re-ClaM」の別冊で中短編の翻訳が3本掲載。 ...
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ボリュームは小さいが企図は大きい―稲葉振一郎『市民社会論の再生 ポスト戦後日本の労働・教育研究』【119冊目】

近代(ざっくり19世紀)→現代(ざっくり20世紀)→現代という段階的な時代区分の根っこにあるのはマルクス主義歴史観だが、マルクス主義自体が失効している現在において、その段階論も見直されつつある。そのまとめ直しを、労働運動の研究者である東條由...
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ぼくにとってレヴューとは―『激音夜話 ISSUE OF REVIEW』【118冊目】

先日刊行された『激音夜話 "3LAインタビュー傑作選 2010~2025"』もまだ読んでないのだが、棚からこれがでてきたのでとりあえずこちらを先に読んだ。 Long Legs Long Arms(略称3LA)という激情ハードコアなどを主に扱...
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これまた強烈に変な本―アラン・マバンク『割れたグラス』【117冊目】

酔いどれアフロ・マジックリアリズムとでも言うべきか。あとブコウスキー感が微妙にあるかもしれない。 国書刊行会から始まった「アフリカ文学の愉楽」という叢書の第一弾。コンゴ共和国の下町にあるバー「ツケ払いお断り」(なんつー店名)が主な舞台。語り...
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「信じてない」のにこんな大著をものにする情熱がいちばん興味深いかも―伊泉龍一『スピリチュアリズムの時代 1847-1903』【116冊目】 

タイトル通り、19世紀後半の主に英米におけるスピリチュアリズムの一大ムーヴメントについて詳しく経緯を辿った本である。先日、森本在臣さんと本を紹介し合うYouTube動画でちらっと紹介した一冊。あの時点では読み始めたところだったのだが、ようや...
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1年半でも一昔感ある―『SFマガジン 2024年2月号』【115冊目】

SFマガジンとミステリマガジンは毎号買ってるんだけど、全部書斎の「積読タワー」(こういうやつ)にぶっこんであって、もう2年分くらい溜めてしまっている。今年はこれを全部読むぞ。と、こないだ決めた。ということでまずは目についた中で一番古いSFマ...