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03 Books

これから読む人は新装版を――『関西ハードコア』【60冊目】

FORWARD/DEATH SIDEのISHIYAさんが日本のハードコアに関する貴重な本を次々と上梓されているが、その皮切りになったのが本書である。刊行当時、初版は早々に売り切れて重版時には増補記事が入り、さらに最近は別な版元からCD付きの...
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読書の快楽の極み―『4321』【59冊目】

オースターってこんなに面白かったっけ! というくらいに最近ハマっていたのが昨年秋に刊行されたポール・オースターの『4321』である。信頼の柴田元幸訳。 何を言ってもネタバレになるタイプの小説なのでどう説明したらいいんだろうか……。ニュージャ...
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先生は大変だ―『現代思想2021年4月号 特集=教育の分岐点』【58冊目】

図書館で蔵書されている『現代思想』のバックナンバーを全部読む試み、今回は2021年4月号。ちょうど4年前の号だ。 2021年、当時の萩生田文科相のときに問題になった受験改革を皮切りに、語学教育の会話重視志向や国語教育(「論理国語」と「文学国...
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実験映画は特にパンフがありがたい―『ベット・ゴードン エンプティ・ニューヨーク』【57冊目】

中短編&長編併せて3本が上映中の早稲田松竹で購入したパンフ。監督自身によるインタビューがまずは興味深い。欲をいえば音楽シーンとのかかわりなんかももうちょっと知りたかったけど。 作品におけるフェミニズム理論をわかりやすく説明してくれるコラムの...
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ポリティカル近未来サスペンスの傑作!―王城夕紀『ノマディアが残された』【56冊目】

国家が成り立たなくなって「動民」(≒)問題がシリアスになっている。「ガーデン」と言われる単位の共同体が各地で林立し独立的な立場を主張している。一方で感染症も問題になっている、というそんな近未来。 主人公は日本の外務省の秘密部署「複製課(レプ...
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マニピュレーターという仕事―『サウンド&レコーディング・マガジン2025年2月号』(リットー・ミュージック)【55冊目】

サンレコを前回買ったのはソフトバレエの特集号だったと思うが、今回はBUCK-TICKの特集号である。 ということでこちらも『スブロサ』の制作についてのインタビュー掲載。今井星野個別のインタビューで、それぞれにマニピュレーターもついているのが...
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定期的に振り返る視点の必要性―『現代思想2021年3月号 特集=東日本大震災10年』【54冊目】

東日本大震災から10年、その間に行われた施策などについてさまざまな立場から寄稿されている。 防潮堤建設についての疑義や漁業にまつわる改革(成功した面もあれば失敗した面もある)避難を余儀なくされた人々、残ることを選択した人々、それぞれに必要な...
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技巧の妙は伝わります―斜線堂有紀『ミステリ・トランスミッターー 謎解きはメッセージの中に』(双葉社)【53冊目】

斜線堂有紀といえば地方も含めて毎回文学フリマに出店、いつも長蛇の列ができる作家さんという印象が個人的には強い。 ラノベ出身で基本的にはミステリ畑で活躍しており、昨年は初のSF短編集『回樹』を刊行(おもしろかった)。ぼくが初めて読んだのは『楽...
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雑誌はやはり積まないほうがいいかも――『EL ZiNE vol.68』【52冊目】

元DOLLの編集者がDOLL終刊直後からずっと続けているパンク雑誌。2024年8月刊行の号。 USハードコアのThe F.U.'SやThe AdvertsのTV Smith、DOOM他数々のバンドに在籍したSCOOT等々ベテラン勢のインタビ...
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【51冊目】積読と再読――永田希『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス)

先日「再読する」と言ったので再読した。 2020年刊。読書論、いや「積読論」にパラダイムシフトを起こした名著である。ビオトープという生物学の概念を読書に導入。つまり自分のテーマや関心に従って書棚を作り直し続けることが薦められている。そうして...