けっきょく最後まで滑っていた―『やぎ少年ジャイルズⅡ』【72冊目】

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上巻を読み終えた時点で「このあと面白くなるのかな……?」と思ったのだが、残念ながら予想通り最後まで面白くならなかった。

自分がやぎだと思って育てられた少年が実は人間だと気づき、さらには「大いなる教え親」という一種の救世主であるとの自覚をもって学生たちを卒業=救済に導くべく活動を開始した上巻。
もう一人の「大いなる教え親」を名乗る人物との争いの果てに、なんか悟りみたいな境地に達したりいろいろあるのだが、読んでいて何が起きているのか、けっきょくどうなったのか、よくわかんないまま読み終えた。

主人公はキリストのイメージなのは明らかだし、その他『オイディプス王』をはじめとして様々な神話の要素が盛り込まれているというのはわかる。巻末の訳者解説によると、ジョゼフ・キャンベルの影響があるそうで、まあそれは納得がいく。同じく訳者解説の言葉を借りると登場人物たちの多くも「概念を戯画化」したような存在で、情報量がやたらと多い。
そうした豊富なバックグランドをもとに下ネタ多めのドタバタが繰り広げられるのだが、なんというかインテリががんばってふざけてるんだけど終始すべってるという印象のまま終わったという感じ。

やぎ少年ジャイルズ Ⅱ|国書刊行会
やぎ少年ジャイルズ Ⅱ コンピューター支配下の学園を舞台に、やぎとして育った少年=ジャイルズの奇妙な大冒険。試練の果てにやぎ少年を待つものは卒業=救済なのか? 奔放な想像力が描く世界史の荒唐無稽なパロディ。

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