タイトルの読み方が「ウオ」だというのでびっくりした―ペーター・マーギンター『男爵と魚』【114冊目】

03 Books

「オーストリア綺想小説コレクション」の第二弾だという。、まあたしかに綺想に継ぐ綺想。

粘菌学者を父に持つ青年ジーモンは父の知人で高名な魚類学者であるクロイツ‐クヴェルハイム男爵と出会い、その秘書になる。しかしまもなく男爵は政敵・カワウソ党によりウィーンを追われることになり、男爵とジーモン、そして黒人の召使ペピは国外へ脱出。スコットランドから武装した気球に乗り逆襲を図るも、嵐で不時着。そのまま村に滞在することになる。滞在中に男爵は研究のために洞窟を探検したところ、歌うセイウチの楽団と出くわし――とまあ、なんのことだかわからない話である。

とりあえず錬金術や博物学の要素は随所で言及されている。ウィーンを追われる前にジーモンが読み耽る本がキルヒャーの『エジプトのオイディプス』。そして旅立つ際に渡されるのは錬金術文献の古典『逃げるアタランタ』。もうこれはマニエリスム小説と言っていいのではないだろうか
あと、「カワウソ党」は社会主義者を指すのではないかと訳者が指摘しているが、全体的になにかの風刺になってるのかというとそこはよくわからない
まあとにかく変な本だった(=好き)。

男爵と魚|国書刊行会
男爵と魚 野党カワウソ党の陰謀で国を追われた魚類学者のクロイツ‐クヴェルハイム男爵は、ウィスキー樽の中で六百年前から生きているスコットランドの先祖の加勢を得て、気球戦団を率いてウィーン征伐に出発するも、嵐でピレネー山麓に不時着を余儀なくされ

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