とにかくこれが撮りたかったんだな―『ノスフェラトゥ』

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古典のリメイクが流行っているらしく、秋にはギレルモ・デル・トロによる『フランケンシュタイン』がNetflixで公開されるなんてニュースも最近は目にした。
そんな流れに乗ってか、ロバート・エガースの『ノスフェラトゥ』リメイクもアメリカでは大ヒットしたらしい。
あいにくと日本では公開規模が小さいのでそれほど話題になってないようなのだが、個人的にはもう一昨年くらいから楽しみにしていたのでした。

ロバート・エガースというのはアマチュア時代の短編からずっと古いものを再現することにこだわりを持った監督である。ムルナウの『ノスフェラトゥ』をリメイクするというのも企画自体は『ウィッチ』を撮った直後からあったらしい。
当然のごとくとにかく美術へのこだわりがものすごい。19世紀ドイツの町並み、東ヨーロッパの山奥の村、古城など。ラストショットを筆頭に「うわっ」と思う絵力の強い画面が連発。
構図がおもしろくて、「被写体を正面からまっすぐに撮る」場面が多い。あとそれと関係してるのか、アスペクト比が狭いよね?(ライトハウスほどじゃないけど)

デフォーは『ライトハウス』『ノースマン』に続けて3本目の登板。今回も安定のデフォー。

考証にこだわりぬいた時代物で、ひとことで説明しがたい強い感情を描くというのがエガースの作風だと思うんだけ、今回でいうとリリー=ローズ・デップ演じるエレンがそれにあたるだろうか。ものすごい熱演だった(母親似だなーと思いつつ、ちょっとクリスティーナ・リッチにも似てる)。
コッポラの『ドラキュラ』は露骨にセックスの隠喩だったんだけど、今回はもっとストレートにセックス。というか露骨すぎないかという気もする
とにかくこれが撮りたかった!という熱意とともに、特にそのエレンの描き方に、今『ノスフェラトゥ』を撮るということについてかなり考えたんだなということも伝わってくる。

次は狼男が題材で、13世紀を舞台に、台詞は全部当時の古英語ということになるそうなので楽しみです。

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