『SFが読みたい!』の海外部門1位。
20世紀初頭のエジプト。
偉大な魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)を解き放ち、人々はジンと共生するように。エジプトは魔術の力で国力を強めていたが、魔術師自身は姿を消してしまっていた。
そこから数十年後、イギリス人の要人を中心としたアル=ジャーヒズを崇める秘密結社の儀式にアル=ジャーヒズを名乗る人物が現れ、その場にいたものを皆殺しにする。
エジプトの「錬金術・魔術・超自然的存在省」に所属する初の女性エージェント、ファトマは新たにパートナーとして割り振られた女性エージェントのハディア、そして古代の神殿に務める恋人のシティとともに事件の捜査にとりかかる。やがて、国家転覆を目指す陰謀へと事態は発展し……

魔術的スチームパンクともいうべき設定がまず魅力的。登場人物たちもいい。とくに主人公ファトマのファッション描写が楽しい。フェミニズムやシスターフッドに関する描写もあり、ファトマとハディアの関係でもハッとさせられる場面がある。
黒幕の正体なんかは「まあそうだろうね」って感じではあるが、終盤の展開など、映画になっても楽しそうだし、シリーズものになっているそうなのでぜひ他の作品も読みたい。
しかしまあ楽しい本ではあるんだけど、1位って言われると「そこまでか?」とは思う

精霊を統べる者 - P・ジェリ・クラーク/鍛治靖子 訳|東京創元社
精霊を統べる者 20世紀初頭、ジン(精霊)の魔法と科学の融合により大発展した魔都カイロ。そこへ40年前に姿を消した伝説の魔術師を名乗る怪人が現れ、彼を崇拝する人々を焼き尽くした。エジプト魔術省の女性エージェント・ファトマは、恋人の女性シティ...
コメント