やはり歌詞が字幕で出るのは嬉しい―『カセットテープ・ダイアリーズ』

05 Movie

『Letter To You』のいまひとつ消化不良だった部分を解消すべく、スプリングスティーンの歌詞が堪能できると評判のこちらを鑑賞した。

80年代末、サッチャー政権下のUK。ナショナルフロントが台頭し排外主義がきつくなってきている郊外の小さな町ルートンで暮らすパキスタン系移民の少年ジャベド。いつかこの街を出ていくことを夢見ながら子供の頃から日記や詩を書いているが、保守的な父からは認めてもらえない。
そんな中、学校で知り合った同じアジア系の同級生からブルース・スプリングスティーンのテープを貸してもらったことで彼の人生は変る。スプリングスティーンの歌や左翼なガールフレンド、熱心な先生などに励まされ、彼は書くことに力を入れていく。作文コンテストで入賞しアメリカに短期留学する権利を得たジャベドだが、それを許さない父親と決定的に衝突――。

87年のUKということで、同級生たちにとってはスプリングスティーンなんて親の聴くもの。放送部のチャラいDJがかけるのはブロス、キュリオシティ、デビー・ギブソン、ティファニー等々。うわー、かすかに覚えてるわその時代。
音楽はインド映画音楽の巨匠A.R.ラフマーンが担当しているのだが、正直なところそれよりも印象に残るのはもちろんスプリングスティーンの歌の数々だ。
夢を叶えたければ、そのように動き、代償を払えというメッセージ。そして労働者階級の敗者たちに寄り添った詞が主人公の状況にも重ね合わされていく。こういうのを聴くと、「ボスはぼくのことを歌ってくれている」と思うんだろうなあ。

スプリングスティーンについては『Born to Run』『Born in the USA』くらいは聴いていて、まあ普通に好きというくらいの位置づけだったのだが、だんだん興味が出てきた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました