原点―『フルートベール駅で』

05 Movie

低予算ながらずっしりと来る映画だった。

実際に起きた警官による黒人青年の射殺事件をもとに、殺された青年の一日を描いている。
刑務所から釈放されて無職のオスカーは、娘と彼女のためにも立ち直って堅気になろうとしている。大晦日の日、以前の職場であるスーパーにもう一度雇ってくれと頼みに行く。たまたいあわせたお客さんにディナーの相談をされてわざわざおばあちゃんに電話してレシピを教わったりしつつも、店長からは過去の遅刻癖を理由に断られる。
これ以外にも、車に轢かれた犬を助けようとしたり、母親の誕生パーティのためにあれこれと手を回したりと、ダメなところは多いが根は悪いやつではない(しかし短気なところはある)というところが丁寧に描かれていく。またそれを演じるマイケル・B・ジョーダンがとても良い。
それだけに、最後に彼がどうなるかはわかっているからどんどんつらい気持ちになっていくのだが。

ただいま絶賛公開中である『罪人たち』のライアン・クーグラー監督によるデビュー作。
ここから『クリード』→『ブラック・パンサー』という流れもすごい。社会派な出自をちゃんと持ったままビッグバジェットのエンタメに進んでいくのが、こういう原点があるからこそという感じがある(まあ『クリード』と『ブラック・パンサー』については「けっきょく血筋かよ」という気はするんだけど)。

『罪人たち』もこれから観るのだが、先に観ておいてよかった。

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