03 Books

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基準が……?―『ミステリマガジン 2025年4月号』【107冊目】

特集は「21世紀翻訳ミステリベスト!」。アンケートによるランキング企画である。今世紀に訳出されたもの(原書刊行年ではなく)という基準なので、本邦初紹介のクラシックミステリみたいなのも入っている。ジム・トンプソンの『ポップ1280』とかが入っ...
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コロナ後のポスト・アポカリプスSF―松崎有理『山手線が転生して加速器になりました。』【106冊目】

タイトルからして何事かと思うが本当にそういう話だった。巨大な素粒子実験機を作りたいと考えた科学者たちが、廃線となった山手線を利用することを考える。ところが起動させてみると、その加速器は山手線だった頃の記憶を残しており、そちらに誇りとアイデン...
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20年以上前なのか―金原ひとみ『蛇にピアス』【105冊目】

たまたま出会って寝るようになった男アマのスプリット・タン(舌の先を蛇のように二股にする人体改造)に魅せられたルイ。自分も同じようにしたいと、マサの兄貴分みたいな存在であるシバさんのところに行き、舌にピアスを開ける。さらには麒麟の入れ墨も入れ...
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爽やかハードSF―宮西建礼『銀河風帆走』【104冊目】

こういうのが好きなのが正統派SFファンなんだろうなという一冊。 創元SF短編賞受賞作家によるデビュー短編集で、「今年の日本SF大賞で特別賞を受賞している。前にも書いたが、やはり昨今の日本SFは新人のレベルが本当に高いなと感心する。 本書には...
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報われない―『世界文学全集〈76〉フィッツジェラルド』【103冊目】

父の蔵書より。集英社の世界文学全集からの一冊。父がこの全集をある程度持っているのだが、揃えているわけではないあたりに自分との性格の違いを感じる。ほんとにぼくは父とは似てないんだよな。 さておき、本書では「偉大なギャツビー」(野崎孝訳)ほか、...
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実は「渋谷系」で一番好きな人―『TV Bros.特別編集 BPM ブロス・プラス・ミュージック vol.4』【102冊目】

小西康陽を特集したムック。TVブロスの増刊で、コンパクトながらなかなか充実している。過去には小山田圭吾や細野晴臣の特集をやっているらしい カラーページで紹介されるこれまでのデザインワークはCDやレコードはもちろんのことながら、紙ものなどが楽...
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ますます充実の第2号―『diSSUE vol.2』【101冊目】

『オールドスクール・デスメタル・ガイドブック』著者の村田恭基氏と「某ユニオンの暗黒担当」による音楽ファンジンの第2弾。昨年末に出たvol.1が大変すばらしかったので、文学リマ東京40にて最新号を購入した。 前号ではOSDMと70年代プログレ...
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幻想とドキュメントー『現代詩手帖 2023年7月号』【100冊目】

図書館で在庫されている「現代詩手帖」のバックナンバーを全部(2年分)読むプロジェクト。2023年7月号は「夏の作品特集 幻想とポエジー」。幻想的な詩は好きなので、ぼくにとってはなかなか読んでて楽しい号である。 山尾悠子の作品は散文詩というか...
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手を変え品を変えー不破有紀『はじめてのゾンビ生活』【99冊目】

ゾンビものは最近も読んだけど、工夫のあるゾンビものはまだまだいろいろ出てきそうですね。 本書はラノベレーベルの電撃文庫から出ており、著者は本作がデビュー作とのこと。巻頭に行政が配っているようなパンフを模した「はじめてのゾンビ生活」というカラ...
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素材が大事ー上阪徹『職業、ブックライター。』【98冊目】

「ブックライター」というのは聞き慣れない職業名かもしれない。たぶんややネガティヴなイメージも込めて「ゴーストライター」という名称が一般的だろう。有名人とか成功者に話を聞いて、それを文章化して本の形に仕上げるという仕事である。「ゴーストライタ...