「NOIZ NOIZ NOIZ #4」刊行を記念して吸血鬼映画をいろいろと観たいと思っている。
遺族の許可を得ずに制作され、フィルム廃棄の憂き目を見たのが1922年の『吸血鬼ノスフェラトゥ』と異なり、ブラム・ストーカー夫人公認で英国で舞台化された『吸血ドラキュラ』。それがアメリカ進出にあたり、ドラキュラ役に抜擢されたのが誰あろうベラ・ルゴシであった。ハンガリーからの移民で強烈に訛りのある英語がむしろ適役とされたのである。もともとハンガリーでも有名俳優だったようだ。
ユニバーサルがトッド・ブラウニングの監督により映画化するに際しては同じくブラウニング監督の吸血鬼映画『London After Midnight』にも出演していたロン・チェイニーを主演に考えていたがチェイニー死去のためにルゴシに役がまわり、この『魔人ドラキュラ』が現在までに至るドラキュラ像の決定版となった。
DVDの特典によれば礼服に黒マントというスタイルは舞台化の際に採用されたもので、もともとはサーカスの奇術師のイメージだったというのも興味深い。

そんな『魔人ドラキュラ』だが、やはり舞台俳優ならではのやや大仰な演技も含めてベラ・ルゴシが素晴らしい。
あと、原作とは異なりレンフィールドがトランシルヴァニアに赴き伯爵と契約を結ぶも自身も吸血鬼の家来となるという設定になっているのだが、このレンフィールドがまたなかなかの熱演である。これはやっぱやりがいのある役なんだろうな。
終盤の、伯爵の屋敷内の階段など表現主義風なところも目を惹く。

まあ確かに演出が演劇っぽいというのはあって、より迫力のある演出が施されたというスペイン語版も観てみたい。
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