03 Books

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尖る/尖らない―「現代詩手帖 2023年5月号」【73冊目】

新人・新鋭特集ということで、巻頭に新鋭の作品がたくさん載っている。 当たり前だけど新鋭といっても尖ったものばかりではなく、ぼくのあまり得意でない「日常を切り取る」系みたいな人も結構いるのだな。個人的によかったのは・小川芙由「エニィ・エニィ」...
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けっきょく最後まで滑っていた―『やぎ少年ジャイルズⅡ』【72冊目】

上巻を読み終えた時点で「このあと面白くなるのかな……?」と思ったのだが、残念ながら予想通り最後まで面白くならなかった。 自分がやぎだと思って育てられた少年が実は人間だと気づき、さらには「大いなる教え親」という一種の救世主であるとの自覚をもっ...
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魔術的スチームパンク―『精霊を統べる者』

『SFが読みたい!』の海外部門1位。 20世紀初頭のエジプト。偉大な魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)を解き放ち、人々はジンと共生するように。エジプトは魔術の力で国力を強めていたが、魔術師自身は姿を消してしまっていた。そこから数十年後、イ...
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40代の鮎川誠―『KEEP ON ROLLING Makoto Ayukawa Photo Live 1993-1999』【70冊目】

90年代の鮎川誠をとらえた写真集。ぼくが初めてシナロケを観た頃だ。 ライブ写真を中心に、楽屋やオフショットなども収録。まあそりゃかっこいいわね。真ん中あたりにロングインタビューも掲載されており、これもいつもの鮎川節ではあるのだが、ちょうどコ...
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自分なりの楽しみ方を見つけたい―『BRUTUS特別編集 合本・写真術』【69冊目】

写真への興味が出たところで2011年に買ってあった雑誌を読んだ。「28人の写真家が教える、撮影術とルール」と表紙にあるが、まあ写真家のインタビュー集である。ポートレイトに風景写真、写真の選び方や写真集の組み方、影響を受けた写真集紹介など、実...
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6年も経つとだいぶ様子は変わるだろうけど――『デザインのひきだし No.38』【68冊目】

デザインに凝った本もたまには作ってみたいものだ。 『ユリイカ』の松岡正剛追悼号や、その延長で松岡正剛・松田行正の対談のYouTubeなんかを見ていたら本のデザインについての興味が湧いてきたので、2019年に買って積んであった雑誌を読んでみた...
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AIの進歩の速さを感じる―『小説を書く人のAI活用術』【67冊目】

もともと電子書籍で出ていたものの増補版。前半を今井昭彦、後半を山川健一が書き、最後に実際にAIを使って小説を書いた葦沢かもめによる10章が加えられたという形。 前半の今井パート。そもそも「ストーリーデザイナー」ってなんだよと胡散臭く思いなが...
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SFはもっと読みたい―『SFが読みたい!2025年版』【66冊目】

去年はけっこう読んだなあ。早川書房から毎年出ている年間ベストアンケートのムック。もう4月だが先日ようやく入手したので目を通した。 例年よりも年間ベストの既読率が高い。特に国内編はベスト10(同率10位が2冊あるので11冊)のうち8冊は読んで...
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自我と他者―キム・チョヨプ『派遣者たち』【65冊目】

「氾濫体」と呼ばれる菌類と、それが引き起こす「錯乱症」の脅威から逃れ、人類は地下で暮らしている未来。 主人公のテリンは地上に行ける「派遣者」を目指し訓練を受けているのだが、頭の中に誰かがいるような感じがする。どうも脳に入れた記憶補助装置「ニ...
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文体と内容―二葉亭四迷『浮雲』【64冊目】

長谷川二葉亭は日本近代文学を作った人物である。 『浮雲』といえば「言文一致体」を初めて導入した小説だというのが文学史における定説だ。実際に読んでみると、普通に読めるので驚く。もともと落語の速記を参考にしたと言われてるだけにリーダビリティは高...