爽やかハードSF―宮西建礼『銀河風帆走』【104冊目】

03 Books

こういうのが好きなのが正統派SFファンなんだろうなという一冊。

創元SF短編賞受賞作家によるデビュー短編集で、「今年の日本SF大賞で特別賞を受賞している。前にも書いたが、やはり昨今の日本SFは新人のレベルが本当に高いなと感心する。

本書には以下の5篇を収録。
「もしもぼくらが生まれていたら」
「されど星は流れる」
「冬にあらがう」
「星海に没す」
「銀河風帆走」

「もしもぼくらが生まれていたら」では高校の科学少年少女たちが地球に小惑星が衝突するのをどのようにして逸らすことができるかを考えるというもので、それも含めて最初の3篇は高校生が主人公。いずれもナチュラルに理系な女子なところがとてもいいなと思う。

後半の2篇は一転して宇宙SF。いずれも宇宙船自体が主人公となる。

スケールの違いはあれど、なんらかの危機や課題を科学やテクノロジーのちからで解決するという点で一貫していて、その点では極めてハードSF的。読後感が爽やかなのは、特に前半の高校生たちがきわめて健全だっていうのもあるけど、一貫した科学技術への前向きな信頼感があるからだろう。
ぼくは正直なところ科学技術関係の記述はほとんどわからないんだが、それでも面白く読めた(まあ、そもそもわかろうとする努力すらしてないというのが正しい。ちゃんと読めばわかるように書いてくれているんだろうとは思います)。

とりあえずこれで『SFが読みたい!2025年版』の日本SFベスト10は全部読んだ。

銀河風帆走 - 宮西建礼|東京創元社
銀河風帆走 【第45回日本SF大賞特別賞受賞】人類の存続を賭けて別の銀河をめざす、人格を持った宇宙船たちを襲う試練(銀河風帆走)、地球に衝突するコースをとった小惑星の軌道をそらす計画に挑む高校生たち(もしもぼくらが生まれていたら)、史上初の...

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