20年以上前なのか―金原ひとみ『蛇にピアス』【105冊目】

03 Books

たまたま出会って寝るようになった男アマのスプリット・タン(舌の先を蛇のように二股にする人体改造)に魅せられたルイ。
自分も同じようにしたいと、マサの兄貴分みたいな存在であるシバさんのところに行き、舌にピアスを開ける。さらには麒麟の入れ墨も入れるに至り、その過程でシバさんとも肉体関係を結ぶ。
あるときアマと歌舞伎町を歩いていると、チンピラに絡まれる。ブチ切れたアマはルイの静止も聞かずに相手をボコボコにする。その場は逃げるが、後日、新聞で相手が死んだことを知る。
酒を飲むだけで食事をしなくなったルイは日に日に痩せていき、異常なペースで舌のピアス穴を拡げていく。

主人公のルイは自分はギャルではないと言ってるが、みんなからギャルだって言われてるのでまあギャルなのだろう。それは自分はアマとつきあっているつもりはないと言いつつどう見てもつきあってるというのとも通じるものはあるのかもしれない。

綿矢りさと同時受賞で芥川賞を受賞したのが鮮烈だったのをよく覚えている。当時は、優等生っぽい綿矢とギャル系の金原という対比もあって、ぼくはそのときは『蹴りたい背中』は読んでそれなりに面白いと思ってたのだけど、なんとなくそのときは「ガチのギャルによる過激な風俗小説」みたいなイメージに反発心があって敬遠してしまい、そのままいまに至っていた。
菊地成孔さんが褒めてるので読もうかなと思った時期もあったのだけれど、そのときにもけっきょく手に取ることもなく、先日のNHKの本棚番組で観てなんとなく興味を持ち読む気になったのだった。
いま、バタイユに影響を受けていると知って読むと、なんとなく納得感がある。

映画化もされてるのだけど、吉高由里子なのか。なんか違う気が……

デビュー以来20年以上、ほぼ毎年コンスタントに書いているというのも大したものだ。せっかくだから引き続き読んでみよう。

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