夢の話など―「群像 2025年6月号」【157冊目】

03 Books

芥川賞候補作を全部掲載誌で読むシリーズ第2弾は「群像」である

「群像」6月号は駒田隼也「鳥の夢の場合」の掲載号。第68回群像新人文学賞の受賞作として掲載された。マジックリアリズムというか、白日夢的な雰囲気があって悪くない。
芥川賞の候補にはならなかったが群像新人文学賞受賞作としてもう一作、綾木朱美「アザミ」が掲載。こちらは新聞社の校閲者が主人公。校閲あるある的な話は面白いのだが、K-POPアイドルに絡んだネット炎上みたいなところは、まあ食傷な感がある。
選評を読んだ限りではどっちかが突出して高評価というわけでもなかった感じか。

乗代雄介10周年特集というのもあり、短編「ボートハウス」がなんだかすごかった。そして対談で・文学史をたどり直す試みをやっているといっていたのも興味深い。いまは新感覚派が狙い目だと思っているとか。

奥泉光と町田康の対談では偽書についての話から文体(ジャズの「モード」になぞらえて)をいろいろと操るという話など。

千葉雅也・宮内悠介対談は黒歴史について。Mixi日記などの原点を語り合う。電子メールの衝撃と現在のSNSについてのくだりはインターネット老人として頷くところが多い。

小西康陽のエッセイ連載が始まっていた。細野晴臣とのライブの話。
第一回ということもあってこれは読んだし面白かったのだけど、基本的に文芸誌を読むときには連載は読んでいない。「群像」は文芸誌の中でも特に分厚いのだが、連載が半分くらいを占めているので実際には読むところは少ないのである。

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